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10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

映画”ウルフ・オブ・ウォールストリート”はただのバカ騒ぎ映画じゃない!映画監督スコセッシの独自の宗教観が反映されている作品だ、というお話。

私、高校を卒業して東京のとある映像関係の専門学校に通ってたことがありまして。

同級生たちの前で自己紹介することになって、その際映像学校らしく『好きな映画監督』を付け加えろ、と言われたんです。

私はアメリカの映画で”タクシードライバー”が大好きだったんで、その監督である”マーティン・スコセッシ”のことに言及しました。

1976年公開、ベトナム戦争帰りの男が主人公。世間に馴染めずタクシードライバーとして働きながら孤独な生活を送っている。ある日大統領選挙事務所に勤める美女に一目ぼれしアタックするが失敗、その頃から少しずつため込んでいた社会への鬱憤があるとんでもない行動へと彼を駆り立てる…という内容。

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 名優、ロバート・デ・ニーロの出世作でもあり今でもカルト的人気がある作品ですが、私が映像学校に入学した25年くらい前に他の同級生でマーティン・スコセッシの名を挙げる者はいなかった記憶があります。

改めて調べてみたらこの頃、スコセッシは後にこれまた傑作と評される”グッドフェローズ”を発表する直前。

グッドフェローズ [DVD]

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 ”アメリカン・ニュー・シネマ”期に登場した異才監督、といった位置づけでそこまで注目を浴びていた人ではなかったかもしれません。

といいますかその当時一番脚光を浴びていた映画監督といえば、ここ日本でもそれはそれは大ブームを引き起こしていたテレビシリーズ”ツイン・ピークス”の製作者デビッド・リンチでした。

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 …そして時は流れて現在、レオナルド・ディカプリオとタッグを組み意欲作を作り出しているスコセッシは”アメリカを代表する映画監督”として押しも押されぬ地位と名声を手にしております。

しかし私は近年彼の映画から遠ざかっていました。というよりディカプリオ君にあまり触手を動かされない、といいますか。いつまでたっても童顔な彼が必要以上に重厚な役柄を演じているのに妙に抵抗があったんですよね。

しかし去年公開された”ウルフ・オブ・ウォールストリート”、これは観たい、という気分になりまして、しかしながら映画館での上映は見逃してしまっていたので、先日やっとDVDにて久しぶりのスコセッシ映画を体験したわけです。

ウルフ・オブ・ウォールストリート [DVD]

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 映画には”ストーリーの面白さを味わう”ものと”役者の演技を堪能する”ものがあると思うんですが、この”ウルフ…”は後者だなと思いました。

ストーリー自体は”バカなアメリカ人が金にものを言わせてやりたい放題やって自滅する”、それより上でも下でもない、見る人によっては単に胸糞悪いだけの映画。

ちなみに私でさえ登場人物たちのあまりの醜悪さにひきましたから。

ですがそのハチャメチャな狂喜乱舞ぶりを熱演したディカプリオをはじめとする役者たちの演技は見事、というより他なかったですね。
特に新米株トレーダーであるディカプリオに先輩トレーダー(マシュー・マコノヒーがいい味出してる)が指南するシーン。
一代で築き上げた会社の従業員を前にテンションMAXで演説を打つディカプリオ。
豪華ヨットで対峙するディカプリオとFBI捜査官の対話、などなど

これぞ火花を散らす演技合戦、といいますか。観ているこっちが鳥肌が立つくらいの名シーンが随所にあって見どころ満載。これでアカデミー賞とれなかったディカプリオはもう当分無理なんじゃないか、と思っちゃいましたが。

またスコセッシのスピード感溢れるストーリー運び、幾多のロック・ポップスを巧みに詰め込んだセンス、切れ味鋭い編集は齢71歳のオジイチャンとは思えないくらいパワフルでやはりさすがとしか言えませんでしたね。

しかしこの映画を観て改めて思ったのが若き頃神父を目指していたスコセッシは一貫して”堕落した男の救済”というモチーフを描いているんだな、ということ。
”タクシードライバー”しかりこの”ウルフ…”しかり。
そういやそのものズバリキリストを主人公にした”最後の誘惑”なんて作品もありました。

最後の誘惑 [DVD]

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 業の深い男が思い込みや欲望に突き動かされ自滅していく様はキリスト教的な倫理観からは激しく逸脱してる、だけどそんな主人公たちにも必ずエンディングにはなにがしかの”救済”を与えているんです。

”ウルフ…”も全てを失った主人公が最後講演会を行ってるシーンで終わってました。決して完全な負け犬のままで終わらせない、実はそれがスコセッシ映画の真の醍醐味だなと。

で、次回作は以前から噂になってた、江戸時代末期の日本の隠れキリシタンを描いた遠藤周作の”沈黙”を映画化する、とのこと。いよいよスコセッシが自身の宗教観に真っ向から対峙する作品を撮るのだな、と今からドキドキしているのです。

 


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