10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

”失くしっぱなし”のまま走り続けるバンド、the pillowsのこと

洋楽に比べるとそこまで熱心な聴き手ではない邦楽ロックですが、それでも好きなバンドはありまして。

エレファントカシマシ、eastern youth、そしてthe pillowsはいくつかアルバム持ってるし、今まで何回かライブも観に行ってます。

なんか私の趣向が分かってしまうチョイスですね。基本、男臭くて青臭いバンドが好きなんすよ。

それぞれ思い入れのあるバンドなんで書きたいことはあれこれありますが、今回はthe pillowsにまつわるエキセトラを。

私がthe pillowsをよく聴いていたのは20代後半頃、

Please Mr.Lostman

Please Mr.Lostman

 

 

LITTLE BUSTERS

LITTLE BUSTERS

 

 この二枚のアルバムはほんとよく聴いてました。”Please Mr.…”には言わずと知れた大名曲”Strange Chameleon”を筆頭にいい曲が目白押し、またその勢いのままより骨太になった印象の”Little…”も好きでしたね。

まぁそれからあっちゃこっちゃ音楽の趣向が広がっていったんで、ずっと彼らのフォロワーでした、という訳ではなかったんですけど、2007年6月号の音楽誌”音楽と人”のthe pillows特集を読んだとき再び彼らへの気持ちが再燃しました。

音楽と人 2007年 06月号 [雑誌]

音楽と人 2007年 06月号 [雑誌]

 

 the pillows結成前夜からこれまで、をそれぞれのメンバーが個別に語ってます。今でも手元に残してるんだけど、バンドをやってる人、そしてかつてバンドやってた人全て必読のインタビューですよ!これ。

つうか再度読み直して涙出てきたし(笑)

…というわけで少しこのインタビューから印象的な個所を抜粋してみようかという思いつき企画です、ハイ。


 the pillowsの始まり


地元の北海道でミュージシャンになりたくて、でもバンドを組む友達が見つけられず、独りデモテープ制作に勤しんでいた高校生の山中さわお。そんな中、オーディションで後に the pillowsのメンバーとなる上田ケンジと知り合う。

上田ケンジはその当時すでに人気のあった”KENZI&ザ・トリップス”のメンバーとして活躍。そんな彼から『君の書く曲はいい、俺とバンドやらないか?』と誘われる山中。

 山中「…ウエケンさんから呼ばれてね。(中略)『山中くんとやりたいんだ』って言われて、さらにビックリして…今でも覚えてる。『俺は2年に一回くらい、これは!っていう名曲に逢う。(忌野)清志郎さんの<スローバラード>、KENZIの<LOVE YOU>。それと君の<パントマイム>』って言われて、すごい嬉しかった。まだ自分の評価を得てないからさ」

 上京し、同じく”KENZI&ザ・トリップス”でドラム担当だった佐藤シンイチロウを上田が誘い、三人でセッション。その後ギターで北海道でバンド活動をしていた真鍋吉明を引き抜き、いよいよthe pillowsが結成される。

しかし元々友達ではなかったメンバー同志、さらに全員年上ということもあり、言いたいことも言えず悶々とする山中氏。

 山中「あ、でも一回、真鍋くんの部屋に行ったことがあるな。(中略)俺は真鍋くんだけが俺の気持ちをわかってくれると思ったの。ケントリの七光りで事務所にもちやほやされてるふたりと、札幌から来たまだこれからのふたりで…」

 山中「…俺はいじけてて『ピロウズやってく自信がない、辞めたほうがいいんじゃないか』って。たぶん優しくされたくて行ったんだろうな」

山中「…でも真鍋くんは『そう思うなら辞めたほうがいいんじゃない?俺も自信のないヴォーカリストとはやりたくないよ(中略)ただ(山中の曲の)カセットテープを聴いて、このソングライターとやりたいかって言われて、やりたい!と思ったから来たんだぜ』って言われて」

と、突っぱねられたことも(笑)


〇上田ケンジ氏の脱退


そしてthe pillowsの最大の試練であった事件はセカンドアルバム制作中に起こる。実質バンドのリーダーだった上田ケンジが脱退を表明。

 山中「(上田が)『いろいろ考えたけど辞めようと思う』って。『じゃあ解散ですよ。抜けるってないですよ。解散ですよ』っつって。そしたら『いや、ピロウズは続けてくれ』って言うから、すぐシンちゃんと真鍋くんに連絡して(中略)俺は解散だって言い張ってたんだ。だって…4人でピロウズ、だって。そしたらシンちゃんや真鍋くんはもちろん、ウエケンさんまで続けてくれ、って言うからアタマにきて

『いや、もう真鍋くんのこともシンイチロウくんのことも、僕は嫌いなんだ。みんな大嫌いだから、もう辞めたいんだよ!』って

言っちゃった本音を(笑)…まぁ普通のバンドならここでジ・エンドだろうが

山中「…だけどシンちゃんはすぐに『山中、俺のドラムが嫌いなのか?それとも俺のことが嫌いなのか?』って言うんだ。『ドラムは嫌いじゃないよ』って言ったら、『じゃあ、諦めきれねぇ』『あのな、…俺のドラムが嫌いなら諦めるけど、人間が嫌いだって言うなら諦めきれない。これからお前、また札幌の仲間とつるんで、仲良しで遊びの延長でやんのか?そんなのバンドじゃねぇぞ』って。」 

シンイチロウ氏、かっこいい!期せずしてメンバーからその才能を認められていることを知った山中氏。で、バンドは存続することに。


〇傑作アルバム”Please Mr.Lostman”前夜


その頃のことをギタリスト・真鍋氏は

真鍋「…その頃から少しずつ、本当に、山中さわお、を認め始めたんじゃないですかね。…今でも憶えてるのは山中が『これ、新曲なんだ』って<そんな風にすごしたい>を聴かせてくれたんだよな。(中略)めちゃめちゃいい曲じゃん!って思ってさ。それにこれ、山中の歌だけど俺の歌でもあるじゃん!って、そう思ったんだよな。だってお互い、同じ思いで打ちひしがれたり、喜んだりしてるんだもん。少しづつ共有する気持ちが増えてきて。君が今感じてることを、俺も感じてるよ、って、そう思えるようになったんだ」 

 ううっ…ここで私の涙腺はいつも崩壊してしまいます。いいなぁバンドって!つうか男同士の友情って!と羨ましさでいっぱいになりますよ。

そんな中、製作されたのが傑作”Please Mr.Lostman”

真鍋「…でもやっぱり世間からは受け入れられなくて、山中も腹を決めて『”Please Mr.…”』を作ったと思うんですよ。俺、ファンの人にはあのアルバムを薦めるんだけど、自分ではね、あんまり冷静には聴けないんだ。なんでかっていうと、あれ、遺書なんだよね。音楽業界への。『さよなら』って言ってるアルバムだから 

真鍋「俺は、あんとき、初めて山中に寄りそえたなと思ってて。この人と一緒に…まぁ、どうなってもいいかなって。同じ辛酸を舐めて、でもお互いの才能をやっと認めることが出来て。でも『さようなら』と彼は言ってるから、心中ですよ」

 そうだったんだな…そういったまさに背水の陣で生み出されたから、なんともしれん哀しげでエバーグリーンで独特な美しさと輝きがあるんですよね、あのアルバムには。


〇”不完全”な姿のまま疾走しつづける三人。


今回彼らのインタビューを改めて読んで思ったのは、ここで語られてることは全て山中さわおの書く歌詞の中に盛り込まれてるな、いつまでも青臭く頑固で、それでいて傷つきやすい等身大の男。つまり彼らの歌には嘘がない、だからいつまでも好きでいられるんだな、と。

 …このインタビューから早7年。そして結成から25年経ち今も日本のロックシーンの最先端で走り続けるthe pillows。面白いのは上田氏が脱退した後、正規のベーシストを入れない状態でい続けていること。そんなバンドとしては”不完全”な状態のまま、つうもの彼ららしいな、と思うんですよね。

では最後に再び山中氏のインタビューから引用でこの記事を終わろうと思います。(佐藤シンイチロウ氏の言葉を載せてなくてスンマセン。取り上げたらいくらでも名言が多くてキリなかったので)

 山中「…だからすごく重要なのは、仲良し4人組、3人組じゃないんだよな、ってことでさ。ロックはそんなところに鳴るもんじゃない。音楽が好きで、バンドが好きで、それしか自分を証明するものはなくて、人生を賭けて東京に出てきたんじゃないか。そのときの思いを信じていれば、絶対に確かなものをつかむことは出来るんだよ」

「くじけそうになったバンドは、ちょっとピロウズのことを思い出してほしい。大丈夫だよ。俺が一回、もうダメって思った時って、うちのメンバーいい歳だったんだぜ(笑)全然盛り返せるよ。もし盛り返せないとしたら、それは本当に能力がないからだよ。そんときは諦めな。(中略)本当に才能のあるいいバンドなら、事務所とメーカーと時代がついてこなくても、絶対に盛り返せる。それはウソじゃない」

「そしてその能力や才能を信じきることだよ。たとえひとりよがりだって思われてもさ。そこには誰より自信があるよ。だって、自分を褒めるのが自分しかいない時代からやってるんだ」

「…君がそこにいる価値はきっとあるんだ。それを見つけるのが生きるってことだよ。僕はロック・ミュージックにそれを見つけたんだ

 

↓このMCは泣ける


MC~ ストレンジカメレオン the pillows(2009/9/16 LOSTMAN GO TO ...

 

※上田ケンジ氏が久しぶりにピロウズと一緒に演奏してる25周年記念のライブ。粋だね。