10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

究極の”沈黙の画家”、ジョルジオ・モランディ

日本人で画壇からも世俗からも逃れ隠遁生活をしながら画業に没頭した画家、といえばまず思い浮かぶのが熊谷守一氏。

ひとりたのしむ―熊谷守一画文集

ひとりたのしむ―熊谷守一画文集

 

 本屋さんの美術関係の棚に行くとこの熊谷守一氏についての本が多いんで、多分ちょっとしたブームなんでしょうね。

あと奄美大島で貧窮の中、色彩豊かでハイパーリアルな絵を描いた田中一村氏も忘れがたい。

田中一村作品集

田中一村作品集

 
田中一村作品集[増補改訂版]

田中一村作品集[増補改訂版]

 

 

ですが1890年イタリアのボローニャで生まれ、74年の生涯をそこで過ごしたジョルジオ・モランディほど徹底した隠居生活を送った画家もいないのではないでしょうか。

 

〇花・風景・そして壺しか描かない画家

モランディが芸術を志した20代の頃は時代的にセザンヌやモネなどの印象派、またピカソやキリコなどのキュビズム、形而上絵画派など美術史上重要な運動が勃興していて、若きモランディも初期にはそれらの影響を受けた絵を制作してるのです。

 

印象派の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)

印象派の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)

 
デ・キリコ (ヴィヴァン25人の画家)

デ・キリコ (ヴィヴァン25人の画家)

 

 

しかし18歳の時、父を亡くし母と3人の妹を養わないといけないという責務が生じたモランディは、都会に出て最先端の芸術運動のただ中に飛び込む、ということが出来ない状態になったんですね。

そんなことも影響してか、彼の絵のモチーフは地元ボローニャの自宅近辺で描かれる風景と花瓶に入った花といったシンプルな静物画、そしてしまいには何の変哲のないみすぼらしい壺を様々に位置を数を変え描く、という時代の流れをまるで無視したかのような特異な作風にまで収斂されていくんです。

 

ジョルジョ・モランディ

ジョルジョ・モランディ

  • 作者: ジョルジョ・モランディ,岡田温司,岡崎乾二郎,堀江敏幸,ほか,ルイジ・ギッリ
  • 出版社/メーカー: フォイル
  • 発売日: 2011/11/22
  • メディア: ペーパーバック
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 ↑私はこの画集を持ってるんですが、それはそれは執拗なほどに一見似たような壺の絵ばっか描いてます。その究極のミニマルさの中に潜む『なんでそこまでこだわるわけ?』という異様さがなんとも興味深い。

しかしその描き方は、よくよく見ればときに背景の壁と壺の境目がわからないくらいの厚塗り、ときにさらっと肩の力が抜けたような感じだったり、ディテールを粗くしていって抽象画にしか見えない絵もあったりと意外に多様。金太郎飴のようでいて味は複雑、そんな掴み所があるようなないような作風も、なんともミステリアスなのです。

○都会に出れなかった諦観から始まったアーティスト人生

私はジョニー・ディップが主演していた”ギルバート・グレイプ”が大好きなんですが、あれも家族の為田舎に留まる若者の映画でした。

 

ギルバート・グレイプ [DVD]

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私自身、東京で暮らした時期もあったけど一人っ子でいずれは親の面倒をしないといけないと考え実家に戻ってきた経緯があるんで、こうした”生まれ故郷を出れなかった・自由を諦めた男”という物語性に強くシンパシーを感じるんです。

 

それに加えてモランディは生涯独身で通し目立った恋話もない、という徹底した隠居ぶり。そんな彼の終生狭い部屋で机上の壺をあれこれ動かしては思索することにのみ費やしたアーティスト人生、つうのも波乱万丈を絵に描いたようなピカソのそれとは違った一種の凄みを感じるんですよね。

一度はなんとしてでも現物の絵を鑑賞してみたい画家の一人です、モランディ。

 

モランディとその時代

モランディとその時代

 

 


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