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10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

さかなクン似の才人(笑)、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが参加したスティーブ・ライヒの”Radio Rewrite”がいいよ!というお話

洋楽

 レディオヘッドといえば90年代にデビューしたイギリスのロックバンドの中でも突出した世界的成功を収め、現在に渡りここ日本でも絶大な人気を誇る人たち。多分私より年下、10、20代の多感な時期に彼らの鮮烈な登場を目の当たりにした、現在30代前半くらいの洋楽ファンは今でも熱狂的に支持してる方が多いのではないでしょうか。

 

私はといえば彼らが97年に発表した3枚目のアルバム”OK Computer”はよく聴いてたもののそれ以外の作品は正直今までスルーしていたのでした。

 

Ok Computer

Ok Computer

 

 

 ぶっちゃけいえばレディオヘッドというバンドをそこまで好きになれなかったんですなぁ。それは絶えず怯えた子犬みたいな目をしているヴォーカル、トム・ヨーク氏の醸し出す雰囲気から”繊細なボク対世界”みたいな?ナイーブ至上主義的な?いわゆるモアトリアムなものを感じて、もうとっくにそんなこと言ってられない薄汚い大人になってしまっていた私には到底入り込めない場所といいますか、要するにジェネレーション・ギャップをおぼえてしまったんですよね。

 

そんな私を尻目にレディオヘッドはこのアルバム以降、”非ロック化”ともいえるロック以外の音楽を貪欲に吸収し、ますます個性的かつ影響力のあるバンドへと進化を遂げていきます。

 

それは結成以来不動のメンバー各々の才能が他の凡庸なバンド群とは比べ物にならないくらい優れていたことも大きく作用してたようで、中でもギタ―の他にも数々の楽器を操る、若干さかなクン似(笑)のジョニー・グリーンウッド氏は元々クラシックの素養があったことから、バンド活動と並行して”映画音楽の作曲家”という新たな活路を見出していくのです。

 

例えばアメリカの監督、ポール・トーマス・アンダーソンの”ゼア・ウィル・ビー・ブラッド”

 

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

 

 

そしてベトナム出身・フランス在住のトラン・アン・ユン監督の”ノルウェーの森”のサントラも彼、ジョニー・グリーンウッドが担当していました。

 

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ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック

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こうなるともう完全に劇伴作曲家の地位を確立した感もあるジョニーですが、また新たな課外活動の成果が先頃発表されていました。”ミニマル・ミュージック”の大家、スティーブ・ライヒの新作”レディオ・リライト”に参加しているのです。


Radio Rewrite

Radio Rewrite

 

 

この作品は前回このブログでも紹介したライヒの過去作、ジャズ界のスーパースター、パット・メセニーが演奏した大名作”Electric Counterpoint”をジョニーが再演したものと、これも過去作”Six Pianos”をソロピアノとテープで再演したもの。それとなんとレディオヘッドの楽曲の断片をライヒが自由に再構築した組曲”Radio Rewrite”を収録しています。

 

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 そもそもとかく”難解”だの”禁欲的”なイメージのある現代音楽の中にあってライヒの曲はリズミカルで反復を多用していることからテクノミュージックの始祖とも言われ、ユースカルチャーとも親和性が高かったんですがまさかこれほど密なコラボレーションをするとは!とビックリしましたね。

 

で私も早速聴いてみました。まずジョニーが演奏している”Electric Counterpoint”はメセニー版とそこまで大幅に改編している印象はないものの、所々わずかにメロディーを(メセニー版と比べて)意図的にずらしたような箇所があったりしてジョニー独自の解釈を付け加えてるんだな、と思ったりしました。

 

また”Radio Rewrite”のほうはレディオヘッドの熱心なリスナーではないので残念ながらどの曲のどの部分を使ってる、といったことは皆目分かりませんが”ライヒ節”ともいえるお馴染みのミニマルな旋律の中に若干反復に頼らない抒情的なメロディーが増したかな、という印象。兎にも角にもライヒ作品として違和感なく完全に確立されているのは間違いなく実に聴きごたえのある素晴らしい作品になってますよ。


あと付け加えておくと、このアルバムを製作した”ノンサッチ”というレーベルは近年ウィルコなどの良心的ロックバンドやランディ・ニューマンやジョニ・ミッチェルなどレジェンド級のシンガーソングライターと契約している実に信頼の置けるレーベル。ここにも注目してほしいですね。


…しかしここ数年のレディオヘッドは間違いなくライヒの影響も受けてたわけで、ロックバンドがアカデミックな現代音楽界の巨匠とここまでがっつりコラボをしたという意味でも実に画期的な作品だし、なによりこれは尊敬していた師匠に直々に認められた、ということでレディオヘッドも今頃鼻高々ではないんでしょうか。よかったねレディオヘッド!そしてジョニー!

 

 

 (※パット・メセニー版”Electric Counterpoint”を紹介している以前のブログはこれ↓)

極私的メディテーションミュージック10選 その一 - 10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

 

 

Penderecki & Greenwood: 48 Responses to

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 (↑ジョニーが現代音楽家・ペンデレツキとがっつりコラボした作品。すごい才能だな)