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10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

読むつもりはない酒鬼薔薇聖斗の手記のこと

ニュース

1997年、兵庫県神戸市須磨区で”酒鬼薔薇聖斗”と名乗る者が起こした児童連続殺傷事件。犠牲になった男児の頭部が切り取られ、中学校の正門に置かれる、というおぞましい猟奇的な犯行、そして捜査の結果、犯人が当時14歳の男子中学生だった、という衝撃的な結末を向かえたことは今でも強烈に記憶に残っている。

 

 

酒鬼薔薇聖斗の告白―悪魔に憑かれたとき

酒鬼薔薇聖斗の告白―悪魔に憑かれたとき

 

 

 

それから18年…現在少年院を出て、社会で一般人に紛れて生活を営む酒鬼薔薇聖斗が”元少年A”というペンネームで手記を出版した、というニュースを知った。

 

quadstormferret.blog.fc2.com

 

 私は、出版社や著者である”元少年A”にいくばくかの印税が入ることにどうしても抵抗があるので、この本を買うつもりはない。(もしかして印税をご遺族に渡すことになっているかもしれない。いや多分出版差し止めを希望されてるそうだから受け取りも拒否されるかもしれないけど)だから上記のブログに転載されている、この本のあとがきを読むばかりなのだが、もしかして”元少年A”は血の通った人間に少しだけ近づいているのかもしれないと思ったのだった。甘い、と言われるかもしれんけど。

 

二人の命を奪っておきながら、「生きたい」などと口にすること自体、言語道断だと思います。頭ではそれを理解していても、自分には生きる資格がないと自覚すればするほど、自分が死に値する人間であると実感すればするほど、どうしようもなく、もうどうしようもなく、自分でも嫌になるくらい、「生きたい」、「生きさせて欲しい」と願ってしまうのです。みっともなく、厭ったらしく、「生」を渇望してしまうのです。どんなに惨めな状況にあっても、とにかく、ただ生きて、呼吸していたいと願う自分がいるのです。僕は今頃になって、「生きる」ことを愛してしまいました。

 

正直このニュースを知った時、「まだこいつ生きてたの!?もし自分のやったことを真摯に受け止めたのなら、良心の呵責に苛まれて普通なら自殺するだろうに」と思ったんだけど、よく考えれば普通じゃないからあんな陰惨なことを、あの年齢でしでかしたんだろう。今や32歳になった彼だが、やっぱりまだ心の中の倫理観やモラルや人の痛みを考える感受性は普通の人にレベルにまでは育っていないのかもしれない。(※彼の場合、殺人願望と性衝動が密接に絡み合っていた、という完全な”心の病気”だったので、この場合は完治してない、とでもいうべきか)

 

だいたい”生きるために書くしかなかった”というのなら日記でもいいし、それでもどうしても公表したかったのならブログでもいいところを、わざわざ出版社に自分で連絡を取り、本として形に残した、という行動にどこか歪んだ承認欲求を感じないでもない。殺人鬼であった自分が本を発表すればまた注目を浴びるに違いない、みたいな。それはまさに異様な手紙を書き添えた、あの事件のことを彷彿させる行為にも思える。

 

しかしあとがきに書かれたこの言葉の中に、どうしようもなく愚かな人間の業みたいなものを感じて、この表現が適切かは分からないけどグッときてしまったのだった。そしてモンスターとして生まれ、制御不能だった(今も?)自分自身に苦しめられる”元少年A”に、なぜだか同情心すら沸いてくるのだった(もしこの表現を不快だと思われる方がいたらすいません)。

 

かつて二人の未来のある命を残忍に踏みにじり、生きる資格もない、と己の罪の深さに今更ながら気づいてしまった。しかしそれでもやっぱり死ねない、生きたい…『お前はそんなことを言う資格はない、自己陶酔するな』とも思う。だけどその往生際の悪さも人間の本能なのかもしれん、とも思ってしまう。

 

「善人なおもって往生をとぐ、いわんや悪人をや」

 

善人でさえ助かるのだから悪人ならなおさら助かる、という親鸞の逆説的な教えが脳裏に浮かぶ。ほんとうに彼は罪の重さを認識できたのか?その罪を償おうとしているのか?そしてこの悪人すら助けなければならないのか?…

 

この本の肝心な中身を読んでもいない私があれこれ書くのもおかしいかもしれませんね。でも、ただ今言えることがあるとするなら

 

『元少年Aよ、あなたは安易に死ぬことで生きることの苦しみ、そして自分自身の罪から逃げるなよ。無様に生き、自分のしたことを一生かけて考え抜くこと、それがあなたの人生の責務であり、少なくとも手記など発表して表現者ぶることではない』

 

 

新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 歎異抄―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

 

 

※今回のエントリーには”絶歌”のAmazonリンクは貼りません。