読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

なぜあなたは『絶歌』を読みたいのか?

元フジテレビアナウンサー、長谷川豊氏が書いた、元少年A著『絶歌』についてのブログを読みました。

 

blog.livedoor.jp

 

この方、局アナ時代から女子アナに向かってぞんざいでひねくれた言葉使いだったりして、正直あんまりいい印象はなかったな。今回のブログも、世間の大方の意見からは見事に逆行するような内容でしたが、以前からこの人のブログ読んでたんで、まぁらしいっちゃらしいな、と思いましたけども。

 

 

でも、顔出しで堂々と自分の意見を表明している、という点において長谷川氏のことは尊重したい。実際これ、かなりの勇気だと思うよ。確実に批判されることは分かってたんだろうし。

 

ところで、たしかに私も前回のエントリー”読むつもりはない酒鬼薔薇聖斗の手記のこと - 10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~”で書いたように、いまだに『絶歌』は読んでません。しかし正確にいうなら、この本を買うことにより元少年Aと出版社が金銭的に潤うことに対し抵抗感があるだけで、もし目の前に置かれていたなら読んでしまうだろうな、というのが本音です実は。

 

なぜか?殺傷願望と性衝動が、あの年齢にして結びついてしまった、完全なる”心の病”に陥った者の狂気の内面にやっぱりどうしても興味があるから。それを「お前、下衆いなぁ」と言われれば「そうです、すんません」と謝るしかないんだけど。

 

ちなみに元少年Aの手記を

彼の「体験」は極めて特異なものであり、そこから紡ぎだされる心情や考え方は「貴重なサンプル」ともいうことは出来る。

 

などと特別視するつもりもないし、ましてや

 

元少年Aはすでに、日本国の定めるところのルールに従い「罰」を受けている。

 

と物わかりよく納得するつもりもない。ただこれほどまでに常軌を逸した事件を起こした張本人の肉声には、どうしようもなく好奇心を掻き立てられる。そんな私だから目下、『絶歌』がベストセラーになってるらしいこともある意味致し方ない、だって濁った濁流をわざわざ覗きに行きたい、と思うのもまた人間なのだから、と思うのだ。

 

 

…そういえばかなり昔に読んだ本『心臓を貫かれて』を思い出しました。

 

心臓を貫かれて

心臓を貫かれて

 

 

77年、アメリカで起こった連続殺人事件の犯人、ゲイリー・ギルモアのことを実弟でありローリング・ストーン誌の記者、マイケル・ギルモアが書いた手記を村上春樹氏が翻訳した作品。

 

 兄であるゲイリーがどうしてこんな犯罪を引き起こしてしまったかを探る中で、マイケル自身も人生に問題を抱えていること、そして彼らが育った”家族の問題”が少しずつ浮き彫りになっていき、最後には衝撃的な事実に行き当たる…アメリカの呪われた家族サーガとして、またある種の謎解きミステリーとしても読めるんですが、なによりもマイケル氏がこの手記を書くことで一種の自己セラピーを行ったのだな、そうでもしなければ自分を救済できなかったのだろうな、と思ったのです。記者といういわばプロの書き手のわりに、何度も繰り返し同じことを書いてる箇所があったり、書きながら苦悩している様が赤裸々に垣間見れるんですよね。

 

この本のあとがきに村上春樹氏がこんなことを書いていました。

 

マイケルが勇気を振り絞ってこの本を書き上げたことによって、果たしてゴーストの追跡からうまく逃げおおせるのかどうか、僕にもわからない。僕にわかるのは、この物語を読んだ多くの読者が、本の最後のページを閉じたあとで、おそらくはそれぞれのゴーストに向かい合うだろうということだけだ。多かれ少なかれ、向かい合わざるを得ないだろう。もちろん僕もその「向かい合わざるを得ない」読者の一人であった。

 

『絶歌』を読んだ方は、どうだったんでしょうか?”サイコ野郎の戯言”と他人事として、ゲスい好奇心を満たすことができましたか?それとも自身の心の奥底にもかすかに鈍く光る狂気を見出したのでしょうか?そういった意味では本質的に”危険”な本であり、興味本位で手に取ることは慎むべき、なのかもしれませんね。

 

 

biz-journal.jp