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10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

”有無を言わせぬ説得力”のあるデザインなら誰も『パクリ』とは言わない…はず

ニュース アート 独り言

先日美術館でアンディ・ウォーホルの絵を観てきました。

 

ぼくの哲学

ぼくの哲学

 

 

お目当ては”ポップ・アート”の記念碑的作品、と評される”キャンベル・スープ缶”。なんでもウォーホルは、当時新進気鋭のアーティストであったロイ・リキテンスタインがアメコミからインスピレーションを得た絵を製作していることに衝撃を受け、自分は何を描けばいいのだろう、と思案してたとき知り合いに「あなたが毎日見るものを描くべきよ、例えばキャンベルスープ缶とか…」という進言を真に受け製作したそうな。(結構安直)

 

 

 

 

それも”絵を描く”といえば筆で描く一点もの、が当たり前だと思われていた時代に、大量生産が可能な”シルクスクリーン”という広告で使われていた版画技法を用いた。それはオリジナリティや精神性が尊ばれる”アート”の固定概念を破壊する、確信犯的にスキャンダラスな行為だったのだ。

 

シルクスクリーンを作ろう―版画技法入門講座

シルクスクリーンを作ろう―版画技法入門講座

 

 

 

そんなキャンベルスープの絵を眺めながら思ったのは『これ、発表したときスープ缶のデザインをした人からはなにも言われなかったのかな?』ということ。今の時代ならさしずめ

 

『商用デザイナーからアーティストへ華麗な転身を遂げたウォーホル、キャンベルスープ缶を丸パクリした絵を発表!これのどこがアートなの!?wwwwww』

 

なんて見出しつけられてネット民から総叩きあってるかもしれないなぁ…などと、ここ最近話題になってるニュースを眺めながら思うのです。

 

 

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matome.naver.jp

 

 

2020年開催される東京オリンピックのエンブレムに海外のデザイナーが『わしのデザインしたロゴに似とるがな!』と指摘されたことが発端となり、エンブレムをデザインした佐野研二郎氏の過去のお仕事にも続々ケチをつけられて、現在絶賛火だるま状態。

 

www.j-cast.com

 

オリンピックのエンブレム問題を聞いたときは、これだけシンプルでミニマルなデザインだったら、世界中で探せば似てるものなんていくらでも出てくるんじゃ?と若干同情していたんですが。トートバックの件は、その元画像との比較を見る限り、まぁ”クロ”と言われても仕方ない、と思われる代物。

 

lite-ra.com

 

上の記事を読むと、佐野氏一人で全てのデザインを行ってるわけではなく、事務所のスタッフにデザイン案を大量に考えさせ、佐野氏はその中から選定しブラッシュアップしているのだろう、とのこと。またこうゆうことはデザイン会社ではよくあることでもある、と。

 

いやぁしかし少なくとも業界にいる人なら、これほど著作権にうるさくなっている昨今、ネットから画像を商用目的で借用するなら慎重を期してフリー素材使うくらいの常識はあってしかるべきだと思うんですけどね。

 

佐野研二郎 (世界のグラフィックデザイン)

佐野研二郎 (世界のグラフィックデザイン)

 

 

 

ところで件のウォーホルはスープ缶の他にも、新聞や雑誌から転用した有名人の写真をほぼそのまんま使用し堂々と作品に仕上げていました。多分あの時代のこと、本人に了承を得る、なんてこともやってなかったでしょう。しかし現代アートの世界をかいつまんで見ていると、こうしたイメージの借用やら、もっとつっこんでいうと丸パクリなんてざらに存在するわけで。

 

結局”許されるパクリ”と”許されないパクリ”があると思うんです。ウォーホルのようにキャンベルスープをそのまま写し取った作品でも、それがしかるべき色調で、しかるべきデザインで、しかるべき大きさで、と要するにセンスよく表現されていて、人々の知的好奇心に訴えかける何かが備わっていれば”許される”。

 

こう言うと元も子もないけど、今回のオリンピックのエンブレムは、何かに似てるのも問題だけどなにより『なにこれ?つまんねぇ…』と思われちゃったのが一番まずかった。デザインとして無難すぎて作品としての強度がやっぱ足りなかったんですよ。だからこうしたパクリ問題がなくても、みんな突っ込んでたんじゃ?、と思うんですが(ここまでの騒動にはなってなかっただろうけどね)。

 

 

とかく表現の世界において”オリジナリティ”つうのは、明確な線引きが難しいとこではありますが、発表から半世紀経った今でも愛されているキャンベルスープ缶の絵のように、誰もが一目見ただけで納得するデザイン、つうものやはり存在するわけです。今回の佐野氏のデザインに一番欠けていたのはこの『有無を言わせぬ説得力』だったんでは?と思うんだけど、ね(エラそう)。

 

 

まだ創作で消耗してるの? 「オリジナリティのありか」編 (マスズレノベルス)

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日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か (角川選書)

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