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10年イシウエのブログ~とりあえず今日を生き抜きたいからっ!~

”凡人”10年イシウエがそれでも生き抜くために日々摂取している『心の栄養素』あれこれを書き綴っていきます。

ネットフリックス・オリジナルドラマ『ベター・コール・ソウル』は”グレーな人たち”の哀歓を綴った秀作ドラマだ!

海外映画・ドラマ

こんな話をすると『オッサンの戯言か…』と思われるでしょうが(つうか、このブログ自体すでにそうした戯言ばかりなんですけど)、若い頃抱いていた理想主義、潔癖さを40を越えてまで保つのはとても難しい。

 

あの頃だったら死んでもやらないようなカッコ悪いこと、無様なことを生活の為、誰かの為にやらなければならないことがある。歳をとる、ということはそうゆうことなのだ…と己に言い聞かせながら。ときに『昔の自分ならやらないよな、こんなこと』などと自省心すら感じず、あっさりカッコ悪いことをやってしまってるときもある。そんな自分に自分でビックリすることもある。

 

それは長らく生きていくうちに図々しく・図太くなっていかざるを得なかったからかもしれないし、もしかして元々それほど繊細でもなかった、本性が剥き出しになっただけ、かもしれない。

 

ただいつまでも青二才のように清廉潔白のままでは、この世の中を渡っていくことはできない、と誰しも悟るときがあるのではないだろうか。自分の中の『許されることと許されないこと』のジャッジを、ときに甘くしてみたりして誤魔化しながら、ギリギリのラインで踏ん張り、それでも生き続ける。大人になること、とはそうゆうものかもしれない(と、ここで手にしていたブランデーをひと口グビリ…)

 

 

十字路が見える

十字路が見える

 

 

 

まぁ、そんなことを柄にもなく考えたのは他でもなく、ストリーミング映像サービス”ネットフリックス”のオリジナルドラマ『ベター・コール・ソウル』シーズン1全10話を今しがた観終えたから。『ブレイキング・バッド』も実に素晴らしいドラマでしたが、この『ベター…』の奥深さもたまらない。ほんとに完成度が高すぎる!

 

(↓ちなみに各回のあらすじは、この方が簡潔にまとめてられてるので、興味ある方は一読を。あらすじ書くのってしんどいのよね(笑))

「ベター・コール・ソウル」シーズン1の感想 | まかない食べるよ! 雑記ブログ

 

 

私が『ブレイキング・バッド』(以下BB)にハマったのは、卓越したストーリー運びはもとより、悪役でさえも、その造形には100%悪、だと言い切れない”グレーな部分”を常に丹念に描いているから、つうとこに惹かれたんですよね。

 

例えば『BB』のスピンオフである、今回の『ベター…』にも登場する、”トゥコ”というキャラクター、こいつはキレるとなにをしでかすか分からない凶暴なギャングである反面、自身の親類には過剰とも思えるほどの愛情を注ぐ男、として描かれている。

 

そして『BB』ではコスい悪徳弁護士として描かれていた、『ベター…』の主人公である、ソウル・グッドマンことジミーも、そうなる前は実はまともな弁護士を目指していたことが明かされる(そしてそれはいろんな出来事がきっかけで頓挫するのだが)。

 

完全なる悪人がいない、誰しもどこかに愛すべき部分がある。それは多分我々だって同じで、大なり小なり人に言えないようなグレーな部分を持ち合わせている。だからこそ、このヒーローがいないドラマ、『BB』サーガに登場する人々にどうしようもなくつい肩入れしてしまう。自分に通じる何かを発見してしまうのだ。

 

(※これから若干ネタバレ的な事書きますのでご容赦を)

 

酒場で相棒と共に、酔客をだまし小銭を巻き上げることに精を出すチンピラだった若き日のジミー。ある日、離婚寸前だった元嫁と浮気していた男の車にイタズラしたことを根にもたれ、性犯罪者の濡れ衣を着せられてしまう。

 

あやうく刑務所に入れられるところを有能な弁護士だった兄・チャックに助けを求め回避、その後チャックが経営する弁護士事務所の郵便係として勤務するのだった。

 

その後、誰にも内緒で弁護士資格に合格したジミーはチャックに意気揚々と報告、そして事務所で働かせてほしい、と懇願するもチャックの共同経営者であるハワードに断られ、半ば仕方なく独立し自身の事務所を立ち上げるのだった。

 

 

回想形式で回を追うごとに少しずつ明らかになるジミーの過去。それは自身を認めてくれない肉親でありエリートの兄への痛切な想いに満ちた過去でもあった。

 

シーズン1では結果的にその兄への想いは裏切られ、ジミーは堅気の道を自ら放棄することになる。その顛末は是非本編を観て確認してほしいんだけど。(あ、別に私、ネットフリックスの回し者ではないので(笑)

特に最終話・エピソード10で自身の過去を老人たちの前で独白するジミーことボブ・オデンカークの長い一人芝居には胸が熱くなったよ。あれはアメリカドラマ史上に残る名演技だよ。

 

またこのドラマのもう一人の主役、ともいうべき”マイク”の背負っているものも丹念に描かれていく。

 

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(↑このオジサンです。演じるのはジョナサン・バンクス)

 

『BB』では麻薬取引の元締めの用心棒役だった彼だが、この『ベター…』では最初、ジミーが頻繁に利用する駐車場のしがない門番として登場。物語が進むにつれ実はそのマイクは以前警官で同じく警官だった息子を、とある不正事件に絡み秘密裡に殺された、という過去を持っていることが少しずつ分かってくるのです。『ベター…』は元々他人同士だったジミーとマイクがいかにして出会い、そして闇の世界にどう繋がっていくのかを描くドラマ、でもあるのです。

 

『BB』と比べると地味な印象を抱いた『ベター…』ですが、シーズン1全て観終わると、なんとも言いようのない哀歓に胸が満たされているのでした。本国アメリカでは来年公開予定のシーズン2が早くも観たいよ!と切に思う私、なのです。